リモートワークが広がるなか、そのデメリットも顕在化してきています。しかし新型コロナウイルスの猛威が止まらない現在、リモートワークのデメリットをどのように解消するのかが課題となっています。経営者・労働者両方の視点からみていきましょう。
新型コロナウィルスを期に、もともと広がりを見せていたリモートワークが更に広がっています。
・リモートワーク実施率 13%→25%に
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000016451.html
パーソルHDの調査では緊急事態宣言前に実施率が13%だったリモートワークが、緊急事態宣言後約28%〜25%前後まで実施率があがっています。
広がっているリモートワークですが、メリットもデメリットもあります。
どういった課題があるのでしょうか。
○労務管理が難しい
日本企業の多くはメンバーシップ型雇用を行なっていますが、一部でもジョブ型雇用を導入するのもおすすめです。職務内容と範囲について明確に規定し、規定に定められた業務が実施できたかどうかで労務管理を行うことになりますので、労務管理の問題は生じません。この過程で自社の業務の見直しにもつながります。
○従業員間、部門間で不公平感が生まれる
実施できる部門や従業員が有利だと、リモートに出来ない部門や従業員から不満が上がります。
しかし、それによってリモート業務のルールをがんじがらめにすると、今度はリモートの価値が損なわれてしまい、誰も幸せにならないという結果になってしまうので注意が必要です。
○そもそもリモートワークに向いた業務がない、少ない
サービス業などリモートワークに向いてない業種は存在します。しかしネット販売などの新事業に取り組んでいる企業も多いと思われます。まずはそういった業務から取り組んでみても良いのではないでしょうか。
○生産性が下がる
リモートワークで生産性が下がる原因は、企業のIT環境が整っていなかったり、従業員の自宅の環境が悪かったり、単に慣れてないだけだったりなど様々です。ひとつひとつ原因を追求することは手間がかかりますが、自社の業務の効率化にもつながります。
○人事評価が難しい
ジョブ型の導入の検討のほか、ネットツールなどを活用してコミュニケーションを頻繁にとること、ICTの導入によって業務の記録が残る形にするなどが対策としてあげられます。
○人材育成、強化が難しい
オンラインマニュアルの作成やICTの導入で業務を記録することもおすすめです。各業務に要した時間など客観的な数字が残るため、常に見ていなくても的確な指導が行える上、育成の効率化も進みます。
○対面商談機会の減少
業種や業態によっては対面が重要な場合があり、それが機会損失になっています。またオンライン商談の手間を言い訳に、純粋に営業回数が減少している営業マンも増えています。営業のための段取りやステップの教育などに、改めて取り組む機会ととらえることもできるでしょう。
○稟議、決済、契約締結の遅延
ルールの簡素化やオンラインでのワークフローシステムの構築、コミュニケーションツールの導入などで防ぐことが可能です。
○情報漏えいリスクが増える
情報漏えい防止のシステムやアクセス権限の設定、ガイドラインの設定とオンラインでの教育システムの導入といった対応が必要になってきます。
○コミュニケーションの減少
チャットツールやウェブ会議システムなどの導入がまず挙げられます。また朝礼・夕礼など、定期的なコミュニケーションの場を、リモートでも確実に行うことも大事です。
○モチベーション管理
リモートワークでは、オフィスでは見えにくかった従業員個別の問題が顕在化しがちです。定期的な1on1ミーティングなど、より細やかなマネジメントが要求されますが、逆にモチベーションを大きく向上させることも可能になるでしょう。
○新しいツール等の導入コスト
新しいツールの導入のチャンスとも言えますが、一気に進めるとコスト負担も大きなものとなります。ツールを使いこなすにも時間がかかるため、少しずつの導入がおすすめです。
○運動不足から健康被害
通勤や社内での移動がなくなることで、予想以上に運動量は減少します。始業前の朝の散歩はおすすめです。朝に日光を浴びて、軽い運動をするとセレトニンが分泌され、精神の安定や頭の回転をよくする効果があります。
○テレワーク環境の整備
まずは体にあった机と椅子を導入することが最優先です。目、肩、腕、腰に負担がかからないように、机、椅子、パソコンを適切に配置し、無理のない姿勢で作業を行えるようにする必要があります。
○ちょっとした相談ができない、孤独感
定期的な電話やチャットツールなどを積極的に活用しましょう。また、オフィスへの出社日などがあれば、その日に積極的にコミュニケーションをとることで、リモート時も連絡がとりやすくなります。
○息抜きができない
1人で作業をしていると、ついつい根を詰めてしまいがちです。アラームをセットして、定期的に休養をとる仕組みを自分自身で設定するのがおすすめです。
○教育機会の減少
社外の勉強会などが、オンラインで増加しています。自分から情報を集め、自身のスケジュールに定期的に組み込むことで機会は逆に増えるかもしれません。
○長時間労働、プライベートとの境界線があいまいに
まずは服装から変えるのもおすすめです。自宅でもオフィスと同様の服装にすることで、オンとオフを分けやすくなります。また時間をきっちりと設定することが、境界をあいまいにしないポイントとなります。
○ストレスが溜まりやすい
朝の運動でストレスに強くなるセレトニンを分泌させるほか、積極的にコミュニケーションをとりにいくことがおすすめです。
リモートワークの課題は、これまでも潜在的に存在していた課題が、コロナをきっかけに顕在化したという事例が多いように思います。これを機に、改めて自社の課題に少しずつでも取り組んでいくことが重要だといえるでしょう。