いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
山岸製作所の山岸晋作です。
今回は家族と歩む家具について。
「山岸さん……。この椅子のクッションのへたり、直りますか?」
とある友人の奥さまよりご相談を受けた家具。
それは、嫁入り道具のひとつ「お化粧のときに使う椅子」です。
非常に大切に使われていた為、大きな傷などはほとんどありません。ただ、毎日の使用の中で、クッション部分がへたり、背もたれの着色が剥げてしまっていたりします。
お話しを聞くと、この椅子、奥様の嫁入りと同時に購入されたとのこと。27年の歳月が経過していました。
旦那様の実家にお嫁入りされました。今まで違う「家族」との新生活です。期待と不安が入り混じった気持ちだったのではないでしょうか。
あれから四半世紀以上の月日が流れました。家族も3人増えました。毎日の喜怒哀楽がありながらも不安はだんだんと安定に代わり、家族の喜びを感じる機会が多かったのではないでしょうか。
そして今年は3番目のお子様の就職も無事決まり、元気に働き始めたそうです。
この27年間、お化粧するときいつも一緒だったのがこの椅子です。
楽しいとき、不安なとき、怒ったとき、悲しいとき、喜んでいるとき
毎日毎日一緒にいました。
そんな家具であれば、修理という選択肢はあっても破棄というのは考えられません。
椅子のクッション部分は、葉の模様から黒と茶色のパターン柄になりました。より落ち着きの趣を持った化粧椅子になったのではないでしょうか。
こうした柄を変えられるのも修理の醍醐味です。今回は布地を取り換えましたが、ソファーであればソファーカバーを取り換えたりや染色などするだけでも、印象は大きく変わります。
背もたれの部分も全て修理致しました。印象が大きく変わっているのが分かりますか?
この生まれ変わった椅子でまた明日からお化粧してくださるのでしょう。
そしてこの椅子と新しい日々を迎えてくださると思うとなんだか嬉しくてしょうがありません。
家具屋というと、「新しい家具を買うだけ」の場所と考えられがちですが、こうした補修・修理も大切なお仕事です。このようなお仕事をさせていただくことが地場の家具屋の一番の喜びであり、家具屋を営む醍醐味です。
永く、永く、家具を使っていただくお手伝いをする。そんな皆様の人生に関わることができる、嬉しい仕事が私は大好きです。
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