近年、働き方改革の流れもあって、フリーアドレス・ペーパーレスを改めて導入する企業が増えています。
そして、その流れは企業に止まらず、学校の職員室にも広がっています。
学校での導入は、企業とはまた違った問題がありますが、それらの問題を解決した事例も増えてきました。職員室のレイアウト変更やフリーアドレスの導入で、教員の業務改善を実現した事例をご紹介します。
実社会に追従する形で、学校内や教員の仕事もICTの波が来ています。
とくに効果を発揮しているのがテスト関連の業務です。スキャナで答案を読み取って、デジタルで採点できるほか、結果をデータとして保存・分析が可能になりました。
そのため、誤答が多い問題がすぐわかるなど、時間短縮と同時に生徒への指導の効率化も生じています。ICTの浸透により教員の働き方、オフィスやデスクに必要な要件も変わって来ており、画一的だった職員室のレイアウトにも変化が起きています。
【職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました!】
出典:https://www.amazon.co.jp/職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました-―「捨てる」から始まる仕事革命-丸山-瞬/dp/4313653945
職員室のオフィスレイアウトに工夫をする例が増えていますが、近年では関連する書籍も出版されています。この本では職員室に工場で使われる5Sの考え方を取り入れて、まずはモノを減らすことから教員の業務改善につなげる手法が紹介されています。
こういった先例が世の中にどんどん出てきており、いまや日本全国の職員室で、レイアウトの工夫による生産性向上が広がっています。
職員室のレイアウトの工夫には、児童・生徒や保護者との相談コーナーや模擬授業スペース、気楽に教育論をかわす喫茶コーナーの設置といったものがあります。
そして、それらのスペースを効果的に活用するために、企業のオフィスで普及が進んできているフリーアドレスも職員室でも取り入れられる事が増えてきました。
フリーアドレスに擦ることで、学年・教科を超えた教員間でコミュニケーションが生まれ、より児童・生徒への指導に活かせる環境が生まれています。
これまで、職員室のレイアウトを変更する足かせになっていたのは書類の多さです。
ICT化によりペーパーレス化が徐々に進んではいますが、一般企業と比べると児童・生徒への配布物などがあり、学校はどうしても書類が多くなりがちです。
また保護者とのやりとりなども、保護者側のITリテラシーの問題もあって、ペーパーレスにすることが難しいということは多いようです。
長期にわたってこのような状況にあることで、紙が多いことは当たり前のこととなっている教員の意識を変えるための取り組みが必要です。
そこで、まずはフリーアドレス化と同時に、書類を置くスペースをデスクとは別に設けてみるのがおすすめです。不便さをわざと演出することにより、全体としてペーパーレス化を推進する意識が高まります
職員室のレイアウトに自由度をもたせる、例えば前述のフリーアドレスを行う大前提として、教員すべてにノートパソコンを配布する必要があります。
一般企業でもデスクトップPCが残っている企業や、共用PCで業務を行っている企業があるなか、保守的な学校で一気に普及させるにはハードルがありますが、実施した時の恩恵は非常に大きいものがあります。
デスクトップPCや共用パソコンでは、どうしても教員の移動が限定的になります。どこでも仕事ができるハードの導入で教員の仕事の自由度が高まり、児童・生徒の指導など本来やりたい業務に時間をかけることもできるようになるでしょう。
職員室のオフィスレイアウトを工夫する例が増えてきているなか、うまく行っている例には共通する要素があります。
それは職員室のゾーニングを、事前にしっかり行うということです。
「通常の事務業務を行うゾーン」「職員同士で会議・コミュニケーションを行うゾーン」「収納ゾーン」「作業などで集中するゾーン」「生徒との交流を図るゾーン」としっかりとゾーニングを行うことで、当初の狙いを反映できるオフィスレイアウトとなります。
その上で個々のゾーン内での導線を考え、モノの配置をすると良い結果になるでしょう。
これまで教員の業務改善は、なんとなく口にしてはいけないような空気感がありました。しかし教員の過労の問題が表面化し、少しずつ教員の業務改善の必要性が叫ばれるようになり、ノートPCや職員室などの労働環境にも予算が付けられるようになってきました。
レイアウトの工夫やフリーアドレスの導入は、専門家の指導を得ることが企業では当たり前となっていますが、職員室においてもやみくもに行うのではなく、あるべき姿を相談して行うのがおすすめです。過労をなくし、より良い教育を実現する職員室を作っていきましょう。