働き方改革では、トップからのメッセージがいかに社員に伝わるかが重要となります。経営者が率先してメッセージを発信し、積極的に社内改革を進めていかなければ、働き方改革の効果的な実現は難しいのです。
ここでは、働き方改革を実施するためのトップメッセージの重要性や、経営者のあるべき姿、トップの改革に対するコミットメントを職場へ浸透させる方法などについて、わかりやすく解説しています。
働き方改革が、トップの強い決断抜きに進まない理由は以下の通りです。
強い意志が伝われば、納得しなくても人は動く
人は、自分が納得しなければ動くことはありません。納得するための理由には、共感や尊敬などもあるでしょう。すべての社員から共感や尊敬を得るのは、とても難しいことです。時間もかかるでしょう。
ただ、共感や尊敬の念がなくても、多くの人が動いてくれることがあります。それは「どうしてもこれをやるのだ」という強い意志が感じられたときです。納得がいかなくても、デメリットが気になったとしても、自社のトップが強い意志を持って決断したことが伝われば、社員も同じ方向へ動こうとするでしょう。
トップがブレると必然性が弱まる
人を動かすために、相手の意見を尊重するのは悪いことではありません。人の数だけ考え方や価値観があり、すべての人を納得させることはできないものです。そういった状況のなかで改革を行う場合には、人の意見に左右されないブレない気持ちを持つことが重要となります。
改革への信念や、熱意といったコミットメントを伝えるには、手段を厳選する必要もあります。「トップは本気なんだな」「会社が変わっていくんだな」と、わかりやすく理解される施策を行い、その後の改革へと繋げることが大切です。
トップメッセージを社員へ効果的に伝えるための、具体的な取り組みについて、以下でさらに詳しく見ていきましょう。
トップメッセージを社員に伝え、より浸透させるためには、どのような施策を行えば良いのでしょうか。
改革内容を自ら率先して行う
トップ自らが率先して改革を実行することは、強い意志を表明する手段としてとても有効です。「どうしてもやりたい」と口では言いながら、実際の概要や段取りなどを部下に丸投げしていては、熱意を伝えることはできません。
具体的には、フレックス制や定時退社など、改革に着手した内容について経営者も実践することです。社員へトップのメッセージが伝わりやすい環境づくりも大切です。毎日出社するオフィスの風景が変わることで、決断が視覚的に理解されるようになるでしょう。
会議をしなくてもコミットメントが伝わるオフィスへ
働き方改革におけるトップメッセージは、書面や全体会議で社員へと表明する手法が一般的です。こういった手法は1度で効率的にコミットメントが伝えられる反面、会議へ出席できない社員や、忙しくて書面にしっかりと目を通さない社員には伝わりにくいものでもあります。
上下関係のないデスクの配置や、部署間の仕切りを排除したオフィスへと変えることで、社内全体がトップの意見に触れやすい環境となります。閉鎖的な空間を少なくすればコミュニケーションも活性化します。社員が日常的にトップの考え方に触れられることが重要です。
「生産性や利益重視ではない」と理解されることが大切
トップメッセージを伝える際に注意したいのは「営業利益のための改革」だと誤解されないことです。働き方改革の実施に、生産性や業務効率の向上という目的があるのは事実です。ただ、そこばかりが強調されると、社員がプレッシャーを感じる可能性があります。
生産性や業務効率以上に、会社が人材を大切に考えていることが伝わるような、わかりやすい改革を念頭におきたいものです。
働き方改革の意図やメリットについて、社員全員が誤った理解をしていると、改革に対する反発のリスクが高まってしまいます。働き方改革について、どのように理解されるのが望ましいのでしょうか。
ワークライフバランスを大切にした働き方を推進する
働き方改革は「社員のワークライフバランスを重視するために行われるものである」と理解されることが重要です。
働き方改革で実施した施策が「今のままでは効率が悪いと思っているのかな」「リモートワークで人件費を抑えるつもりか」「残業代を削減したいのでは」と間違った解釈をされる事態は、避けなければなりません。あくまでも社員を大切にしたいがゆえの改革である、との理解が広まるようにしましょう。
会社の利益は社員へ還元される
働き方改革によって利益が生じるメリットも、隠す必要はありません。利益が出れば、その分社員へと還元されることが伝われば良いのです。リフレッシュメントスペースの設置やオフィス家具の刷新など、職場環境の改善は、利益還元をわかりやすく伝えることができるでしょう。
働き方改革が滞ることなく遂行されるためには、何よりもトップのコミットメントと強い決断が重要です。そして、それらが正しい形で社員全体へと伝わる手段を取ることも、また重要であると言えるでしょう。