働き方改革では、社員の働き方のニーズや多様性を認めて、そこに向き合うことが重要です。ここでは、働き方改革の鍵が多様性であることの理由や多様化のメリット、ニーズの種類に応じた施策案などを解説していきます。
働き方改革では、多様な人材やニーズに応じた働き方が提供できることも目的としています。働き方改革において、多様性が鍵となるのはなぜなのでしょうか?
少子高齢化の中で人材を確保するため
少子高齢化への対策は、働き方改革で提唱されている骨子でもあります。フルタイム勤務、常駐勤務を雇用条件としてきたこれまでの働き方では、少子高齢化社会では人材不足に陥る可能性があるからです。
働き方の多様性を認めることで「フルタイム勤務はできないが、5時間勤務は可能」「遠方在住で毎日出勤できない代わりに、自宅で作業ができる」といった、人材の確保を可能にします。
ステレオタイプでない働き方=多様性
「営業部門の仕事」「人事部門の仕事」など、部門ごとに担当する業務が違うのはどの会社でも同じです。しかし、会社によっては「営業ノルマへの貢献は弱いが、数字に強い」「接客技術はあるが要介護の家族があり、長時間働けない」といったタイプの社員もいるでしょう。
ステレオタイプな働き方の枠にはまらない人材を適材適所へ配置することができれば、それは多様性へと繋がっていきます。多様性のある人材を積極的に採用する取り組みが、働き方改革の鍵となるのです。
多様性とコミュニケーション活性化がセットとなって働き方改革を推進する
働き方改革では、多様性を認める施策に加え、コミュニケーションの活性化も推進しています。多様な働き方の理解には、社員同士のコミュニケーションが欠かせません。経営者の考えについて、正確に共有する必要もあるでしょう。多様な働き方が実現している職場では、コミュニケーションが活発に交わされます。多様性とコミュニケーション活性化はセットとなり、働き方改革をスムーズに推し進めていくでしょう。
働き方の多様性を認めることで、以下のようなメリットも期待できます。
現在フルタイムの社員も多様性の選択が可能に
現在では、終身雇用を前提としない働き方が主流となってきています。男女の役割や性差もフラットとなり、結婚やライフスタイルも変化しつつあります。今働いている社員が、将来的にフルタイムで働けなくなる可能性もあるのです。働き方改革で多様な人材を認めることは、在籍している社員にとっても、選択肢が増える喜ばしい試みとなるはずです。
社員との信頼関係が生まれる
拘束時間や勤務形態にとらわれない働き方は、経営者と社員との間に信頼を構築します。最初のうちは「監視の目がなくても働けるだろうか」「業務が滞りなく進むのだろうか」といった不安があるかもしれません。
社員の仕事ぶりに対する不安は、後述するオフィス環境の整備によって軽減できます。社員がコミュニケーションを取りやすいオフィスであれば、誰がどのような仕事を担当しているか、相互に理解できるからです。社員としても、そういった環境を提供してくれている会社に対して、信頼を寄せるようになるでしょう。
個々の自主性やスキルアップが期待できる
部門の壁を越えた働き方は、社員の自主性やスキルも向上させます。これまで関わりの少なかった部門とのコミュニケーションや、新しいスタイルでの働き方へ対応するため、試行錯誤するからです。多様性を認め、社員一人ひとりの能力を適正に評価できるようになれば、さらに優秀な人材へと成長する、という良い循環が生まれるでしょう。
フレックス制の導入
家庭の事情や体調などにより、定時勤務が難しい社員がいる場合、コアタイムを設けて出社するフレックス制を導入します。業務の都合上、拘束が必要な部門を除いて、適宜導入しても良いでしょう。
テレワーク、時短・在宅勤務の推進
遠方勤務や育児中など、フレックス制でも対応が難しい社員には、事務所へ出向かない働き方を提案します。具体的には、在宅で業務が可能な部門にテレワーク、在宅勤務などを実施します。
フレックス制やテレワークでは、全員がフルタイム勤務する形態よりも、さらにコミュニケーションが必要です。社員間で業務の引継ぎや、報告連絡がしやすい環境を整えることをおすすめします。
レイアウトなどのオフィス改革
多様な働き方を可能とするために、従来のオフィスレイアウトでは業務に支障が出るケースもあります。出社する時間帯や業務によってデスクを分けたり、個人のデスクを設けないフリーアドレスの導入なども検討すると良いでしょう。テレワークや在宅勤務では、ITツールの整備やペーパーレス化の推進も重要です。
働き方改革を進めるためには、多様性を認めることが重要な鍵となってきます。多様性のある職場ではコミュニケーションが活発となり、信頼感や自主性も生まれやすいです。多様な働き方は、自由でスキルの高い仕事ができる人材を育てます。優秀な人材にフィットするような職場環境づくりから始めてみてはいかがでしょうか。