一見、働き方改革と関連性がなさそうなペーパーレス化は、実は働き方改革と密接に関わっており、改革を進めるのに有効な手段です。働き方改革にはペーパーレスの導入が不可欠、といってもいいでしょう。
ここでは、ペーパーレス化が働き方改革を推進する有効な手段となる理由とその事例、ペーパーレスを進める具体的な方法などについて解説します。
働き方改革において、ペーパーレス化が有効であるとされる主な理由は以下の通りです。
・「紙に残す」作業にかかる社員の手間が削減できる
現代の営業活動において、ほとんどの会社では書類作成にパソコンを利用しています。デジタルで参照できる情報があるにもかかわらず、これを紙で利用するためには、さまざまな工程を踏むことになります。
書類形式をサイズに合わせて調整してプリントし、場合によっては控えや会議用など、複数のコピーも必要です。プリントした書類をファイリングする作業や新旧の入れ替え、コピー用紙の発注なども必要となります。これらの業務は、ペーパーレス化を推進することにより大幅に削減することが可能です。
・社内スペースが活用できる
ペーパーレス化を進めることにより、印刷した書類を保存するスペースや、コピー用紙のストック場所を確保する必要がなくなります。
これによって、空いた社内スペースをミーティングルームにしたり、社内のレイアウトをフリーアドレス化することも可能です。社内で自由に着席して作業できるフリーアドレスは、働き方改革において重要なコミュニケーション活性化にも役立ちます。
・web上で共有することにより検索、チェックが容易に
マニュアルや業務報告などを紙にせず、web上で共有することによって、パソコンさえあれば時間や場所を問わず検索やチェック、更新が可能になります。フレックス制やテレワークといった働き方改革にも貢献できるでしょう。
次に、ペーパーレス化によって生産性が向上すると予想される事例について挙げてみましょう。
・ペーパー管理から解放されたことで、時間を有効に活用できる
会議用のコピーやファイリング、コピー用紙の補給、シュレッダーのゴミ捨てやインク交換といった作業が、ペーパーレス化によって1日あたり1時間の勤務時間削減ができた場合、その時間を顧客のリストアップや引継ぎ報告、ミーティングの時間などに充てられます。紙に関わる時間の分だけ残業をしていた社員は、残業ゼロの達成も可能です。
・「二度手間」をなくしてコストを削減
パソコン上で作成したのと同じ書類を更にプリントアウトしてファイリングし保存する、メールに添付したものと同じ書類をFAXや郵送で送る、という二度手間を減らすことで、紙代やコピー機にかかる費用、通信費などを削減できます。
・自宅にいながら書類の確認が可能となり、フレックスタイム制度導入が進んだ
ペーパーレス化と情報のweb共有により、書類を取りに行くためだけに出社する必要がなくなるため、フレックス制度を負担なく実施することができます。
働き方改革の実施と、社内の生産性向上にも貢献できるペーパーレス化ですが、本格的に推進するためには、以下のような取り組みが必要となります。
・「紙信仰」をなくす意識改革が必要
近年ではかなり進んできているペーパーレス化ですが、「デジタルよりもアナログ」「大切な書類は紙に残しておくべき」といった「紙信仰」がまだ残っている会社も少なくありません。法律によって電子書類が認められないものは除き、可能なものから極力ペーパーレス化を進めるために、社内で通達して意識改革を進めることが大切です。
・ペーパーストックのスペースを縮小、撤廃する
ペーパーレス化で社内スペースの有効利用が可能となるのであれば、先にペーパーストックのスペースをなくしてしまうのも方法の1つでしょう。これまで保存していた不要な書類を廃棄して、保管できる場所を縮小、または撤廃することで、ペーパーレス化へと全体の意識を促すことが可能となります。
働き方改革では、古い慣習や非効率な暗黙の社内ルールも、改善していくこととなります。改革実施を良い機会ととらえ、ペーパーレス化も積極的に推進していくとよいでしょう。