働き方改革を進める過程で起こる問題のほとんどは、社内でのコミュニケーション不足が原因となっていることも大きな要因の1つといえます。
ここでは、オフィスにおけるコミュニケーション基盤の改善によって、社員のエンゲージメント向上や業務効率アップにつながる理由、オフィス内のコミュニケーション活性化につながる施策などについてご紹介します。
働き方改革において、コミュニケーション活性化が不可欠であるとされる主な理由は以下の通りです。
・1人1人のライフスタイルに合わせた働き方の提案が求められる
働き方改革において、長時間労働の解消や非正規社員との格差是正といった改善を行うにあたり、社員1人1人が抱える状況にフィットした改善案を提供する必要があります。
厚生労働省が提唱している働き方改革の基本的な考え方にも「個々の多様な事情に応じた柔軟な働き方を社員が選べる」という点を重視しています。現場の声を反映させない改革では、反対意見や新たな不満が出る原因となる可能性もあるでしょう。
働き方改革で人手不足の解消や人材確保を実現するためには、社員と個々に面談を行うなどして、コミュニケーションをとる必要があります。
・他の社員のライフスタイルについての社内理解を進める必要がある
会社と社員とのコミュニケーションが取れていても、その情報について共有されていなければ、社内理解を得ることが難しくなります。働き方改革によって変更されるべき理由について不透明だと、「なぜあの人だけが」「何が基準になっているのか」といった憶測を招きかねず、これも改革をさまたげる要因となります。
待遇改善や勤務時間の調整がなぜ必要なのか、ともすると不公平に見えるような改善について、結果的に負担が減ることや業務の効率化が期待できるなど、社内理解を深める必要があるでしょう。
・情報を共有しやすいコミュニケーション基盤が働き方改革をスムーズに
働き方改革を実施する前に情報を共有しやすい基盤を整えておくことで、活発なコミュニケ―ションが取れる環境へと改善することができます。
具体的には、会議にかける時間の短縮や部門ごとの申請・承認の簡易化、テレワークによるコミュニケーションのサポート、といった点が挙げられます。オフィスにおけるコミュニケーション基盤の改善によって、業務効率アップや社員のエンゲージメント向上が期待できます。
働き方改革を円滑に進めるため、コミュニケーションを活性化させるには、どのようなアイデアあるでしょうか。以下に代表的な例を挙げてみます。
・フリーアドレスの導入
フリーアドレスとは、社内で社員が個人のデスクを持たず、状況や担当する業務に応じて自由にデスクを決められるシステムのことを指します。従来のように部門や部署ごとに分けることをせず、食堂や会議室のような空間に座席を配置し、各々が好きな場所に座って勤務するスタイルを取ります。
中にはネットカフェのシステムのように、出勤してから空席をパソコンでチェックしてから着席する会社もあります。フリーアドレスを設けることによって、部署間の垣根が低くなり、コミュニケーションが容易となります。その結果、働き方改革によって勤務時間の調整を行い空席となったデスクを目立たなくしたり、承認や申請にかかる時間を短縮するといったメリットが得られます。
・ミーティングスペースの工夫
従来のミーティングでは、参加する社員が会議室へ集合するため、仕事を中断する必要がありました。区切られた会議室では、ミーティング中に業務を代行する社員の確保も必要です。全員で共有できる場が取りにくい環境では、参加者の時間調整が難しくなる、というデメリットもあるでしょう。
ミーティングスペースを個室形式からオープンスペースに移すことで、従来よりも気軽にミーティングの機会が持てるようになります。フリーアドレス化を併用すれば、デスクにいながら別部署とのミーティングを行うことも可能です。
ミーティングのオープンスペースの設置によって、会議に要する時間と手間を簡便化できます。レイアウトによっては、不要となった会議室を別の用途に使えるというメリットもあるでしょう。
・コミュニケーションツールの導入
フレックス制や勤務間インターバル、時短勤務といった働き方を進めるには、チャットやメッセンジャーといったコミュニケーションツールの導入も必要です。従来の定時制勤務であれば直接確認できる事項も、個々の勤務時間を調整することで、伝達や引継ぎといった業務報告の重要性が増すと予想されます。
テキストによるコミュニケーションツールは、口頭で確認するよりも「文字が履歴として残る」というメリットがあります。外出先からも社内の状況が確認できるため、従来通りの業務においても有益です。
クラウドシステムの活用も、自宅にいながらミーティングに参加したり、情報を共有するコミュニケーション活性化に役立ちます。
コミュニケーションツールの整備は、社内に拘束されるべき必然性を軽減して柔軟な働き方を進められるほか、コミュニケーションをより円滑にできるため、社員のエンゲージメントアップが期待できます。
働き方改革を考えるうえで、コミュニケーションの活性化は重要な課題となります。実施前から社内環境を整えていくことで、社員の業務効率アップとエンゲージメントの向上がよりかなえられるでしょう。