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政府が掲げる働き方改革の意外な問題点やリスクとは?

政府が掲げる働き方改革の意外な問題点やリスクとは?

平成30年4月6日、国会に提出された働き方改革関連法案。

そこには、次のようなことが書かれてあります。

 

  • 月45時間、年360時間を原則とした残業時間への上限規制
  • 待遇格差を埋めるための『同一労働同一賃金』の制度化
  • 裁量労働制の適用拡大の全面撤廃(一部営業職に対する裁量労働制の適用を見送り)
  • 高度プロフェッショナル制度の新設

 

参考:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(平成30年4月6日提出)概要│厚生労働省

 

特に注目しておきたいのが、「高度プロフェッショナル制度の新設」です。

裁量労働制と類似点が多いといわれる、高度プロフェッショナル制度。

なぜ裁量労働制の適用拡大がされずに、新たな制度を築き上げることになったのでしょうか。

こちらで裁量労働制の懸念点を振り返りながら、高度プロフェッショナル制度のリスクを検証いたします。

 

 

裁量労働制の懸念点

 

裁量労働制とは、実労働時間とは関係なく一定の時間を「労働時間」とみなし、賃金を支払う制度です。

 

裁量労働制が適用されると、時間管理も個人の裁量に任せることになるので、出退勤時間は自由となり、残業代も無くなります。

(労働基準法第38条により定められた、いわゆる「みなし労働時間制」の一つです。)

 

なぜこのような制度があるのかというと、労働時間に対して成果・業績を残しにくい業種が存在するからです。たとえば、設計者や技術者などが当てはまります。

 

ただし、裁量労働制が適用されるのは、以下のような労働基準法第38条に定められた業種に限ります。

 

  1. 専門業務型裁量労働制

開発や研究などの仕事では、業務のルールを明確に決められません。

雇い主側が労働時間を指示することがむずかしいこともあり、裁量労働制が適用となります。

 

  1. 企画業務型裁量労働制

企画や立案、調査などの業務を行う人も、裁量労働制に該当します。

裁量労働制により、個人の知識・技術・能力を活かせるようになるとの見解です。

 

  1. 事業場外労働

対象者は、外回りがメインの営業職や、海外との行き来が頻繁な添乗員などです。

社外で過ごすことの多い場合に適用されます。

 

裁量労働制は時間管理が個人の裁量となり自由度が増す反面、労働時間の概念が薄くなり長時間労働を助長させてしまわないかという懸念があります。

 

 

高度プロフェッショナル制度のリスク

 

「高プロ」「高プロ制度」とも呼ばれる、高度プロフェッショナル制度。

高度プロフェッショナル制度とは、「一定の年収があり、高度な専門知識を有する一部の専門職は労働時間の規制から外す制度」を意味します。

 

こちらは労働時間と賃金の関係をなくした制度であり、残業代は支給せず、成果で賃金を決めることになり、平成31年4月1日 に導入される見込みです。

 

対象者は「年収見込額が1,075万円以上であること」です。

 

成果を上げるために、休日出勤や深夜残業などが増えてしまう事にならないかが問題視されています。

 

 

仕事と生活の両立を実現するために企業ができること

 

高度プロフェッショナル制度の導入や裁量労働制の運用をするにあたり、きちんとした考え方を持たないと、仕事と生活の区別がつきにくくなってしまいます。

仕事と生活のバランスを上手に考えないと、働き方改革を導入しても失敗に終わってしまうでしょう。

 

逆に言えば、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)により相乗効果が生まれることで、政府が掲げる働き方改革を実現できるのではないでしょうか。

ワークライフバランスは、「仕事と生活のどちらを重視するのか?」という取捨選択の考え方ではありません。

どちらか一方を犠牲にするのではなく、共存させてより良い生き方を目指すべきです。

 

仕事と生活の両立を実現するために、企業ができることは何かをみていきましょう。

 

  1. 社員のモチベーション向上

これまでの会社は、社員の働きぶりを評価し、給与アップや社会的地位の向上に目を向ければよいとされてきました。

しかし時代の流れとともに、仕事に対する価値観は社員一人ひとりで異なってきているのが現状です。

競争を勝ち抜くために頑張ろうとする人以外に、定時できっちり上がりたい人、自分にしかできない仕事をしたい人、和気あいあいとした職場で働きたい人もいます。

 

さまざまな価値観を持つ社員を束ねていくには、それぞれのモチベーションに目を向けることが大切です。

取り組みや結果を評価する制度を残しつつ、定時で上がれる方法を話し合ったり、個人の業績を社内で表彰したり、他部署や外部との交流を増やしたりしましょう。

 

  1. 長時間労働の原因究明

残業を制限する施策を導入しても、残業の根本的な原因を解決しないと意味がありません。

人手不足により起きているのか、業務の細かいところに無駄があるのか、それとも何となく残業できる環境がいけないのか。

いずれにせよ、なぜ長時間労働がなくならないのかを見抜けないままでは、社員はそのうち仕事を家に持ち帰るようになってしまいます。

 

  1. 子育て支援充実

働き方改革の目的の一つに、女性が活躍しやすい環境整備 が挙げられています。

女性が仕事と生活の両立を実現するためには、企業からの出産・育児に関する適切な支援が必要です。

「復職したいけれど、育児支援をあてにできないから心配だ」という声が挙がれば、問題解決に向けて対応しなければいけません。

 

 

まとめ

終身雇用制度を意識した会社経営では、これからの時代を乗り越えられなくなってきています。

今後、働き方改革として「裁量労働制」や「高度プロフェッショナル制度」を導入する企業が増えてくると思いますが、一歩間違えると長時間労働に拍車がかかる事も。

 

仕事と生活の両立を実現するためには、ライフワークバランスの仕組みづくりがカギとなります。

職場環境の改善に向けた取り組みを行うことで、働き方改革の問題点やリスクを回避していきましょう。

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