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働き方改革を進めるメリットとは?

働き方改革を進めるメリットとは?

政府が推奨している働き方改革が実行されれば、労働の仕方が柔軟になり、多くの人が働ける労働環境が整うと期待されています。働き方改革の目的や意義、メリットをまとめました。

 

働き方改革の目的や意義

 

政府が働き方改革を打ち出したのは、以下の背景があります。

 

  • 将来的に日本の総人口の減少
  • 将来的に労働力人口の減少(少子高齢化)
  • 労働生産性が低い
  • 長時間労働問題
  • 正規雇用と非正規雇用の格差

 

このまま人口が推移すると、総人口は2110年に4,286万人程度になると考えられています。また、働ける人口も2060年には半数位まで減少してしまうでしょう。現状を打破するため、働き方改革の意義として、内閣府は以下を公表しています。

 

  • 労働者がより良い将来の展望を持てるようにする
  • 労働生産性を向上させて賃金の上昇を図る
  • 消費を押し上げて多くの人が心豊かになる家庭を築けるようにする
  • 総理が議長となり働き方改革をスピーディに実行していく

 

長時間労働や正規と非正規の賃金格差などの問題を解消し、幅広い国民を豊かにすることが目的とされています。

 

 

残業抑制だけではない、働き方改革を進めるメリット

 

働き方改革には以下のメリットがあります。

 

1. 長時間労働がなくなる

長時間労働は会社に弊害をもたらします。

 

  • 社員が早期退職しやすくなる
  • 社員が過労や精神疾患を抱える原因になる
  • 残業代が会社の経費を圧迫する

 

働き方改革では長時間労働の改善が求められています。長時間労働が改善して残業が減ることで、以下のメリットが生まれます。

 

  • 社員のストレスや疲労を軽減できる
  • 社員のプライベートの時間を大切にできる
  • 社員の早期退職リスクを抑制できる
  • 残業代の削減が期待できる

 

社員の体調や精神面に余裕を持たせることで、仕事の効率アップが期待できます。また、残業手当分を抑制することができるので、経費の削減にもつながります。

 

2. 雇用の促進

従来の雇用形態には、以下のデメリットがありました。

 

  • 基本的に労働時間や場所が決められている
  • 36協定などの規定で残業時間が増える傾向がある
  • 仕事が完了しない場合、休日出勤をする必要も出てくる
  • 急な早退や休日が取りにくい
  • 副業や兼業が公に認められにくい

 

しかし、今後の雇用形態は、以下のような柔軟なスタイルが求められています。

  • テレワークや在宅ワークなど場所に縛られない働き方
  • 余った時間で副業や兼業が行える
  • 自分の好きな時間に働けてプライベートも充実できる働き方

 

働き方が自由になることで、主婦層や高齢者、障害や病気で外出できない人も雇用することができるようになります。企業にとって、多種多様な人材を確保できるメリットがあるのです。

 

3. 正社員と非正規の格差がなくなる

非正規の社員は、正社員と同じ仕事をしていても、給料や待遇が劣っていることが多く、所得に格差が生まれてしまいます。

 

  • 賞与が与えられない、もしくは正社員よりも少額
  • 福利厚生が正社員より少ない
  • 法律上有給休暇は取れるが、知らされていないことが多い

 

このような、正規と非正規の格差を解消しなければ、優秀な非正規社員がより好待遇の職場を求めて離職してしまう恐れがあります。そこで注目したいのが、働き方改革において提唱されている「同一労働同一賃金」です。

 

同一労働同一賃金の導入は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省 より引用

 

非正規でも、十分な働きをしている社員には、正社員同様の給与や待遇を与えることで、労働者の流失を防ぐことができます。また、自身の仕事ぶりが適正に評価されれば、労働者の意欲も向上します。つまり、同一労働同一賃金による格差解消に取り組めば、企業の生産性が向上する可能性が高いと言えます。

 

 

働き方改革を導入する際の注意点

 

ここまで、働き方改革のメリットを解説してきましたが、注意すべき点があります。それは、「中途半端な働き方改革では意味がない」ということです。

 

「残業を禁止しただけ」「消灯時間を決めただけ」といった、表面的な施策を行うだけでは労働生産性の向上は見込めませんし、逆に様々な弊害が出てきてしまう恐れがあります。

 

 

1. 社員の給与が下がる可能性がある

たとえば残業を一律で禁止したとします。そうなると、今まで残業をすることで所得を増やしていた人は、残業ができなくなることで給料の総額が下がってしまいます。残業をなくすこと自体は決して間違いではありませんが、残業をしなくても今まで以上の労働生産性を維持できる仕組みの構築が、経営者には求められます。そして、生産性向上によって増えた利益を社員の給料に還元する必要もあるでしょう。

 

2. 残業を減らしても仕事は残る

今までの仕事の仕方を何も変えずに、ただ労働時間を短くすると、仕事の達成度が低くなり会社の利益は減ります。これは、「働き方改革」=「残業禁止」と短絡的に捉えてしまった場合に起こりがちです。これを回避するためには、タスクの見直しなどをして作業の効率化を図り、少ない労働時間でより多くの成果を追求する必要が出てきます。

 

3. 社員のモチベーションが下がる可能性もある

たとえば、残業禁止や21:00完全消灯などのルールを社員に強制した場合、これまで残業によって仕事をなんとか処理してきた社員に不満やストレスを抱かせる可能性があります。早く帰ったものの、結局は自宅で仕事をすることになり、「余計なルールを押し付けられた」という反発が生まれやすくなるのです。

 

4. 管理者の負担が大きくなる

上記3つの問題が起こると、それらを解決する方法を考えなければいけません。必然的に、管理者にしわ寄せがきてしまうでしょう。

 

5. 陥りがちな罠を回避して働き方改革を推進するためには?

働き方改革とは、ただ単に残業を禁止することではありません。経営者が一方的に決めたルールを社員に押し付けることでもありません。

 

なぜ職場の労働生産性は低いのか、なぜ長時間労働を前提にした仕事の仕方が蔓延しているのか、その原因を探し出し、対策を打ち立てて自社の労働環境を根本から変化させない限り、一部の人間に業務が集中したり、またすぐに元の長時間労働に戻ってしまったりする可能性が高くなります。

 

だからこそ、経営者は、働き方改革で陥りがちな罠を理解したうえで、どうすれば表面的な施策にとどまらずに新しい労働環境を構築できるのかを真剣に検討していく必要があるのです。

 

 

まとめ

 

  • 働き方改革は将来の総人口と労働人口の減少対策のために行われる改革
  • 働き方改革によって労働時間の適正化や生産性の向上が見込まれる
  • 労働時間を減らすだけでなく、仕事の効率化や仕組み化も同時に進めることが重要

 

働き方改革が上手に機能すれば、生産性の向上や給与アップなどにつながっていくでしょう。また、長時間労働が改善されてプライベートが充実すれば、社員のストレスや疲労は軽減されますし、早期退職のリスクも抑えられます。注意点を理解し、対策を立て、働き方改革を取り入れていきましょう。

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