近年、よく耳にするようになった言葉に、DX(デジタルトランスフォーメーション)があります。
しかし、ではDXとは具体的にどのような意味なのか。まして、オフィスにおいてDXを推進するとどのようなメリットが生じるのかとなると、ピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、オフィスでDX導入にあたっての注意点も含めて解説してみたいと思います。
DXとは、簡単にいうと「進化したデジタル技術を活用して、人々の生活にイノベーションを起こす」ことです。
単なるデジタル化にとどまらず、大きな変革を社会に起こすことを目標にするのがDXです。
企業においては、デジタル技術を活用することで激しい社会の変化に対応し、新しいビジネスモデルを立ち上げると同時に、社内マネジメントのあり方を変革することだといえます。
今までルーティンで行われていた作業を可能な限り無くし、従業員は新しい価値を生み出すことに専念するためには、DXの導入は欠かせません。
そして、オフィスにおけるDXといえば、現状ほぼ「ペーパーレス化」と同義語だといえるでしょう。
なんだ、その程度のことかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし紙に頼らず働くことが出来ること、紙がある場所に頼らず働くことが出来るということは企業の生産性向上にとって非常に大きなメリットです。
場所を確保するコストや移動のコストがかからないだけでも大きい上に、紙情報がデジタルで共有しやすくなることが重要です。
企業の生産性を大きく向上させる自律型社員の育成は、多くの企業において課題となっています。
しかし、上手くいっている事例を見つけるのは非常に困難です。
この自律型社員の育成を阻む大きな要因は、社内における情報共有のなさだと言われています。
今まで紙面上にあった情報を、いかにデジタル上で効率的に共有・活用できるか、これが今後の日本の生産性を左右します。
最近注目を浴び、推進する企業が増えているDXですが、導入手法にはさまざまなアプローチがあります。
ツールの導入や社内ルールの変更、従業員への啓蒙など、いろいろなアプローチがありますが、オフィス設計やオフィス機能の変更でDXを推進するアプローチもあります。
オフィスを活用したアプローチは、他のアプローチに比べて自然に導入が進みやすい特徴がありますのでおすすめです。
DXを推進する上で大事なポイントは、知識や意識へのアプローチだけではなく、従業員が強制的に行動を変えなくてはいけない状態にすることです。
単に「DX推進」を掲げただけでは、看板だけで実質ほとんど進まないといった企業も多々見られます。
ツールを導入しても利用されていない、社内ルールを変更しても以前のやり方がどうしても残っているなど、DX推進を進めるには古い体質の企業ほどハードルが上がります。
利用の仕方がわからない、利用してもメリットを感じない、導入時の手間や初期トラブルで嫌気がさすなど、多くの理由で利用されなくなり、旧態依然の非効率なやり方を続ける企業は多いです。
一方、オフィス機能でアプローチする方法は、物理的に変化が起き、従業員が行動を変えざるを得ないためアプローチとして有効です。
オフィス機能を変更するアプローチには、大きく2つの方向性があります。
「DX的ではないものを出来なくする」施策と「DX的なアプローチを促す」施策です。
まずは、「出来なくする」アプローチについて紹介しましょう。
例えば、
・そもそもFAX機器を設置せずインターネットFAXに置き換える
・ペーパーレスを実現するために書庫を削減する
・個人ロッカーを削減する
・フリーアドレスを導入する
などがあります。
いままでのやり方が出来ないようにすることでDXが推進されます。
導入当初は、大きな反発が発生することが予想されますので、全体で行うのではなく一部署だけでスモールスタートするなどの工夫が上手くいくポイントです。
社内でひとつ成功事例を作ってしまえば、横展開していくことは比較的容易になります。
逆に「促す」アプローチは、
・オンラインミーティングブースを設置する
・会議室に会議用マイク、カメラを常設する
・ヘルプデスクなど使い方が分からないときの窓口を用意する
など、従業員がDXを推進しようとした時に、ハードルを低くすることでDXが推進されます。
新しいことを導入する場合、本来あるべきものが無いなどのマイナス要因が少しでもあると、簡単にいままでのやり方に戻ってしまいます。
従業員がつまずく要因を少しでも取り除き、効果を実感させることが重要です。
昨今、これまで以上に未来が予測不能になってきています。
そのような時代に生き抜くためには、素早い変化対応が欠かせません。DXの導入は変化対応を恐れない社風づくりにも活かせるのではないでしょうか。