「仕事中の雑談は良くない」という風潮は、今でも多くの職場で見受けられます。気軽に雑談ができない雰囲気や環境は、社内のコミュニケーションにどのような影響があるのでしょうか。
ここでは、職場での雑談や仕事中の無駄話の是非とコミュニケーション不足の弊害、雑談が仕事に繋がる可能性などについて、わかりやすく解説していきます。
仕事中の無駄話が一切ない職場は、いびつなのでしょうか。雑談できない環境がもたらすデメリットについて見てみましょう。
人の集中力には限界がある
人が継続して集中できる時間は30~50分ともいわれており、長時間集中力を持続できないことは、さまざまな機関の研究からも明らかになっています。厚生労働省でも、パソコンを使用した業務において「1時間以上連続して作業をしない」「10~15分程度の小休憩を挟む」といったインターバルの導入を推奨しています。
集中力は小休憩を挟むと継続できる
職場で一切雑談ができない場合、小休憩のたびに席を立つか、その場で黙って休憩を取ることになります。移動する時間が長ければ休憩時間は短くなり、黙って休憩していればリフレッシュが難しい場合もあります。効率よく集中力を継続させるには、短時間で効果的な休息を取る必要があるのです。
仕事中の雑談は、集中力が継続されて業務効率が上がる以外にも、以下のようなメリットが期待できます。
クリエイティブな発想は雑談から生まれることも
仕事に活かせるひらめきは、何げない会話から見つかることもあります。業務に従事しているときは、その対応や処理に集中しているため、斬新なアイデアを思いつく余裕がありません。他部署や他の社員との連携をスムーズにしたり、障害となる課題を発見するといった機会は、他者との雑談から生まれるケースが多いのです。
ちょっとした無駄話が「小さな会議」へ
仕事によって繋がっている社員同士なら、雑談も仕事の話題になるのが自然な流れです。そういった自然なコミュニケーションが取れれば、お互いにスムーズな仕事の手順について語り合う機会にもなるでしょう。
雑談と思っていた会話が小さな会議となり、小さな会議から大きな改革が生まれるケースもあります。そのような自然なコミュニケーションができる環境がオフィスにあれば、社員はより前向きに仕事へ向き合う可能性が高まるのです。
コミュニケーションが活性化し、帰属意識が高まる
「社員同士の雑談なら、昼休憩や退社後にすればよいのでは」というのも一理あります。しかし、現在の働き方は多様化が進んでいます。ランチ派とお弁当派は休憩中に接点を持つのが難しいこともあります。家庭の事情により、退社後はすぐに帰らなければならない人もいるでしょう。
仕事中に気軽にコミュニケーションが取れる環境なら、就業中でも機械的でない会話を交わす時間が持てます。人間味のある会話ができるからこそ、仕事上での悩みや課題も打ち明けられるでしょう。
気軽な雑談から社内全体のコミュニケーションが活性化すると、仲間意識や帰属意識が高まります。そうした意識は、仕事の質を高める努力や、組織としての会社に対するコミットメントにも大きく影響するといえるでしょう。
自然な雑談ができる、容易なコミュニケーションが可能なオフィス環境の構築方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
トップが率先して部下と雑談を交わす
「仕事中に雑談をしても構わない」と宣言しても、トップや上司が沈黙を守っていると、社員はなかなかリラックスしづらいものです。
経営者や管理職が率先して部下に雑談を持ちかけることで、和やかな雰囲気づくりを可能にします。もちろんこれは、社員が雑談に応じられないほど、オフィスが殺気立っていないことが前提です。業務にあそびや余裕が持てているか、見直す機会にもなるでしょう。
「リフレッシュしてもよい」と思える空間の提供
オフィスの家具や壁面などに、デザイン性のあるツールを採用するのもおすすめです。殺伐としたオフィスよりも、スタイリッシュなオフィス環境のほうが、雑談できる雰囲気の構築を容易にします。社員同士のデスクに仕切りがあれば取り払ったり、壁向きのレイアウトを対面型に変更するといった取り組みも良いでしょう。
「オフィスの中でリラックスしたり、リフレッシュしてもいいんだ」と社員が感じられる空間の提供だけで、コミュニケーションが活発になることもあるのです。
仕事中に雑談ばかりするのは考えものですが、多くの場合そうはなりません。オフィス環境の整備は、適度な休憩とリフレッシュをかなえ、仕事に関する建設的なコミュニケーションや帰属意識にも繋がるはずです。