オフィスにフリーアドレスを導入する際、どうしても簡単に選んでしまいがちなのが椅子です。
しかし、社員の作業効率の向上を考えると、椅子選びはとても重要なポイントのひとつ。また効果的な椅子の配置は、フリーアドレスの促進効果も見込めます。
フリーアドレス導入時の椅子選びのポイントについて、まとめてみました。
オフィスにフリーアドレスを導入する場合、社員の座る場所が毎日変わることもあって、固定レイアウトの時よりも椅子の選定が軽視される場合があるようです。
しかし、オフィス家具の中でも、業務の生産性や疲労の度合いなど考えると、椅子の選定は非常に重要なポイントです。
また、フリーアドレスを導入した場合、各自が好みの椅子を選んで座る場所を決める傾向があります。そのため、様々な種類の椅子を複数個用意して配置することによって、フリーアドレスが促進されるといった効果もあるようです。
オフィスチェアを選ぶ際は、以下の5つのポイントから目的・狙い・状況に合わせて選定することが重要です。
・背もたれ
背もたれで大事なポイントは高さです。
背もたれが高いほうが、リクライニング時に寄りかかることができるため疲労感も少なく、一般的にはおすすめです。ヘッドレスト付きのものは、よりリラックス効果がアップします。
背もたれの低いものは、軽さや価格が優れているほか、視界がさえぎられないことや立ったり座ったりがしやすい点などがメリットです。短時間での利用が多い席などでは、こちらが良いでしょう。
・ロッキング
ロッキングとは、背もたれや座面がうしろに倒れる機能のことです。
リクライニングと混合されがちですが、リクライニングは背もたれを好きな角度で固定できる機能のことを指します。
長時間の作業では、自分にあったロッキング設定にすることで、疲労が少なく作業効率を上げることができます。プログラマなど、長時間の作業を行う人の椅子では、半分ぐらい寝た姿勢に近いロッキングが最適な場合などもありますので、自由に設定できる椅子がおすすめです。
ロッキングには、体重をかけた時に背もたれの傾きの「強弱を調整できる機能」や、背もたれがぐらぐらせず集中できるようロッキング後の「位置を固定できる機能」があり、これらの機能があるとより作業効率のアップが見込めますが、価格との兼ね合いで決定するといいでしょう。
・アームレスト
腕を置く肘かけのことです。
技術の進歩により、近年のアームレストは装飾品から、人の体を支えるアイテムへと進化しました。両腕の重さは体重の約16%もあり、肩こりの原因の一つは腕の重さとも言われます。アームレストを椅子につけることで、肩こりの解消が見込めます。
また、背筋を伸ばし姿勢が崩れるのを防ぐほか、「座る」・「立ち上がる」の動きの際、アームレストがあることで行動のきっかけや体のサポートになります。
高さの調節ができるかどうかなどを含めて選びましょう。
・生地
椅子の生地は、布・メッシュ・合皮・本皮と複数あります。目的・狙い・状況に合わせて選定しましょう。質感が柔らかく、手ざわりも良いため、布の場合が多いですが、最近は蒸れないメッシュを背中に配置したものも人気です。高級感を出したい場合などは、皮素材が良いでしょう。皮は、汚れが布で拭くと簡単に落ちるため、お手入れが簡単な点も長所です。
・チェアハンガー
チェアハンガーとは、椅子の背もたれに取り付けて使うハンガーで、脱いだジャケットやコートなどをサッとかけることができます。衣類の型崩れを防ぐことができる便利なアイテムです。チェアハンガーには椅子に専用のボトルやネジを使って固定できるタイプと、背もたれに引っ掛けるだけで使える簡易的な取り外しタイプがあります。取り外しタイプはかけていたものを取るときに、一緒にチェアハンガーまで外れることがあるので、固定タイプのチェアハンガーに対応した椅子を選ぶとよいでしょう。
椅子のロッキング固定機能や強弱調整機能などは非常に便利ですが、フリーアドレスだとせっかく自分好みに設定した椅子に、他の人が座ってしまうという問題が起こりえます。
また、最初は自分好みに設定した椅子にしか座らない人なども出てきがちです。しかし、社員全員がフリーアドレスに慣れていくことで、どの椅子であっても座る時にさっと設定するようになるなど、変化がでてくることがほとんどですので安心してください。
椅子は高さも重要です。椅子の高さは、机の高さとの兼ね合いで決めましょう。ふくらはぎと太ももが直角となり、足の裏が地面につく高さが最適だと言われています。理想的な座面の高さは、自分の身長の4分の1の高さという計算方法もあります。
社員の身長によって最適な高さが異なるので、座面の高さを調整できる機能があると有用です。
フリーアドレスを導入する際、とくに女性に多いのですが、他の社員が座った後の椅子に座ることに抵抗がある方がいます。1日中座ることができれば大丈夫でも、当日に椅子が変わるのは抵抗があるという人など様々です。その際は、当日固定や人によって固定など、臨機応変に運営ルールの変更を行いましょう。毎日の消毒など、衛生面での安心感を持たせるためのルールの導入も効果的でしょう。
フリーアドレスを導入する場合、えてして椅子の重要性は軽視されがちです。
オフィスチェアを選ぶ際は、目的・狙い・状況に合わせて選定することが重要です。上手に選択することでフリーアドレスでの作業効率アップとフリーアドレスの促進を図り、効果的なオフィス環境を作っていきましょう。