新型コロナウイルスの影響もあって、リモートワークが広く採用されるようになったことから、オフィスのあり方も変化が求められるようになり、より柔軟性の高いオフィス運用の形としてもフリーアドレスが見直されています。
このように新型コロナウイルスの影響もあって、さらに導入する企業が増えているフリーアドレスですが、すべての部署・職種に向いているかというとそうではありません。
◯向いている部署・職種
営業・企画・マーケティング等
一般的にフリーアドレスに向いているとされる部署・職種は、外出が多く、顧客やパートナーとのコミュニケーションが主体の仕事が向いています。
外出していることが多く、フレックスや直行直帰などの比較的自由な働き方が既に行われている場合は、とくに導入しやすいと言えるでしょう。
また社内にいても会議などが多く、在席時間が比較的少ない職種もフリーアドレスにおすすめです。
◯向いていない部署・職種
製造・開発・制作・経理
逆にノートパソコンやデスクのみで仕事が完結しない部署・職種はフリーアドレスにあまり向いていません。
ハイスペックのパソコンや、製造に関わる機器等が必要な場合は、席を固定したほうが生産性はあがります。またフリーアドレスの目的は、異なる部署の交流によるイノベーションの創造のため、そもそもアイデアの創出よりも実務作業を求める職種に関しては導入のメリットが少ないと言えるでしょう。
そう考えると経理や財務・人事などの管理部門は、一部フリーアドレスに向いていないと言わざるを得ません。
経理や人事はペーパーレスが進んでいる現代でも、紙の書類の保管・管理が必要なものがどうしても残ります。
また、機密にあたる文書は施錠管理も徹底しなくてはいけないため、席の場所を固定して書庫などの近くにいることが業務上どうしても必要になってきます。
それ以外にも、管理部門は色々と他部署から相談を受けやすい部署のため、フリーアドレスで担当者が見つからないという時、もっとも不便をかけてしまう部署でもあります。
そのため、本来は後回しにすべき部門ですが、そもそも管理部門こそが働き方改革やフリーアドレス導入の旗振り役になることもあり、まずは自分たちからフリーアドレスに取り組むことも重要です。そのため最近は、経理・管理部門のフリーアドレスにチャレンジする企業も増えてきています。
また新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増加した現在では、必ずしも全員分のデスクが必要とは言えず、フリーアドレスの導入のハードルは下がっているとも言えます。
また社内での密な状況を避ける効果も期待できるでしょう。
管理部門においても従業員の気分転換や、コミュニケーションの円滑化を目的にフリーアドレスを導入したい場合は、まずは同様の業務を行っている経理・人事・総務などの管理部門内だけでフリーアドレスを行うことも一つの方法です。
管理部門内だけであれば機密漏洩の心配も少なくなりますが、重要書類の管理ルールの設定やパソコンの画面が見えにくい座席配置などの独自ルールの設定も加えることで、より安心安全に運用することができるでしょう。
近年では、経理・人事・総務は単なる裏方にとどまらず、戦略的に経営に参画することが求められています。管理部門もフリーアドレスを導入し、コミュニケーションを活性化させることによって働き方改革の推進につなげることもできるのではないでしょうか。
また他部署とのコミュニケーションも促進したい場合は、管理部・経理の近くに他部署が利用できるフリーアドレスを用意するのがおすすめです。交流のためのカフェスペースなどをレイアウトすることで、他部署とのコミュニケーション促進を測ることが可能になります。
機密情報の取り扱いが難しく、フリーアドレスには向かないと言われ続けていた経理などの管理部門ですが、フリーアドレスの効果が薄いわけでは決してありません。
管理部門だけでの部分的なフリーアドレスや、他部署のフリーアドレススペースを隣接させるなど工夫次第で導入は可能になります。
難しいと諦めることなく、まずはできることから取り入れてみてはいかがでしょうか。