近年、オフィスの生産性を高める仕組みとしてフリーアドレスが注目され、導入を検討する企業も増えてきているようです。
しかしフリーアドレスの導入にあたっては、メリットだけではなくデメリットもあります。自分の席がないことがストレスに感じたり、集中して作業ができなくなる場合もあるなどといったことがあげられるでしょう。
フリーアドレスの導入時は、そのような人たちへのケアや集中作業スペースの設定など、デメリットへの対策もしっかりする必要があります。その上でフリーアドレスのメリットを活かしていけば、大きな効果が期待できるでしょう。
ではフリーアドレスのメリット・効果4つについてご紹介します。
フリーアドレスの一番大きなメリットは、社内でのイノベーションの加速です。席が固定されていると、どうしても同じ部署の人間だけのコミュニケーションに陥りがちです。
そのため、同じ社内に問題解決のリソースが存在していても使えない、そもそもリソースが存在することさえ知らないということもよく聞く話です。
フリーアドレスを導入すれば、部署ではなくプロジェクト単位で動きやすくなるので、部署を横断しての情報共有を活発にすることができます。
また、普段コミュニケーションが多くない社員とも会話をする機会が増えるため、新しい刺激から今までにないアイデアが生まれることにも繋がるでしょう。単純な生産性の向上だけでなく、社員全員の創造力を高める効果が期待できるのです。
世の中がモノ消費からコト消費へと変化する中で、私たちの働き方も知識・作業型労働から思考型労働へ切り替えることが求められています。働き方改革を進めている企業にとっては、この点がフリーアドレスの最も重要なメリットだと言えるでしょう。
フリーアドレスは、ブレインストーミングなどを活用したチームでの集合知を重視する働き方に最適な仕組みですが、社員個々の生産性向上にも実は効果があります。
場所を変えて仕事をすることで、個人の仕事の集中力アップが期待できるのです。仕事に集中していると、どうしても脳が疲れてきて、集中力は落ちてしまいます。
その脳の疲れを取るのに最適なのが、仕事の場所を変えることなのです。脳は新しいことを始めると再活性化すると言われています。学生時代、家での受験勉強に疲れたとき、図書館や喫茶店に場所を移すとまた頑張れたという経験をした人も多いのではないでしょうか。
また最近の脳科学の研究によると、短期間の集中と休憩を繰り返すことが集中力の維持に効果的だと言われています。席を変えることで、自然と休憩の効果も期待できますので、その意味でも定期的に仕事の場所を変えることは有効だと言えるでしょう。
それ以外にも、ずっと同じ場所で仕事をしているとストレスも溜まりますし、飽きもきてしまいます。同じ環境での仕事が続くと、仕事が同じことの繰り返しになってしまいがち。仕事を単純作業にさせないという意味でもフリーアドレスの導入は効果が期待できます。
また営業部門など、日中は外出しているメンバーが多い部署では、人数分のデスクは不要です。フリーアドレスを導入することで、その分のオフィスのスペースを大きく削減することが可能です。
レイアウトの工夫も同時に行えば、かなりの座席数を減らすことができるため、営業マンの増員を考えている企業でも、オフィスを移転することなく増員ができます。逆にもっと小さなオフィスに移転して、経費を削減することもできるでしょう。
また、フリーアドレスの導入で空いたスペースを活用し、電話やミーティング専用のスペースを確保することで会議室を減らすことも可能です。
ちょっとしたミーティングや個別面談など、仕事を進める上で会議室を利用したい時は多いものです。
しかし、いざ会議室を利用しようとすると、どこも予約でいっぱい。やっとの思いで確保したと思ったら、当日ほかの会議室を見るとなぜか空っぽ。
そんな経験をされたことのある人は多いのではないでしょうか。予約のキャンセル忘れや「とりあえず予約」などで、せっかく用意した会議室が有効活用されないことは多いようです。
オープンでかまわない軽い打ち合わせやブレインストーミングなどを、フリーアドレスで行うルールをしっかり運用できれば、無駄に会議室を増やす必要も無くなります。
フリーアドレス導入のメリットは、スペース削減による経費削減だけに留まりません。削減したスペースを活用し、イノベーションを起こしやすいレイアウト設計をすることで、より付加価値の高い仕事が生まれるオフィスを作り出していきましょう。